近年の創薬研究において、夏期の放射光施設の運転停止が大きな問題となっています。医薬品や農薬の開発に必須となるX線結晶構造解析は、放射光施設を利用しなければ実施できないため、日本の研究者はこの時期に大きな制約を受けています。この状況に対処すべく、株式会社アグロデザイン・スタジオは、フランスの欧州シンクロトロン放射光研究所(ESRF)を活用した新たなX線結晶回折測定サービスを開始しました。
フランスのESRFとは?
ESRFは、フランスのグルノーブルに位置する世界的に有名な放射光施設です。この施設は、極めて高い強度のX線を発生させる技術により、様々な科研の分野に貢献しています。特に、医薬・農薬研究向けのタンパク質構造解析において、信頼性の高い測定結果を提供することで、多くの研究者に支持されています。
日本国内の放射光施設は、電力消費が大きいため、夏場にはしばしば運転を停止します。しかし、フランスは冷涼な気候と安定した電力供給の特長を生かし、夏季もこの施設を稼働させています。アグロデザインは、この利点を最大限に活かし、医薬品開発を行う研究者に対して年中無休で測定を行える環境を提供します。
どのようなサービスが提供されるのか?
アグロデザインの「海外放射光測定サービス」では、国際輸送から測定作業までを一括して代行します。研究者は凍結した結晶サンプルを、同社の柏市にある研究所に送るだけで済みます。サンプルはフランスへ輸送され、そこでX線回折測定が行われ、得られたデータはまた研究者に返送されます。
測定料金も非常にリーズナブルで、16個の結晶を測定できるUni-Puck1個あたり、税別19万8000円という設定がなされています。また、アカデミア向けの特別価格として税別16万円も提供されています。この柔軟なプランにより、研究ニーズに応じた利用が可能です。
さらに、AgroBox®というサービスでは、結晶化スクリーニングから構造モデリングまで、幅広いサポートを受けられます。ESRFでの測定を利用することで、迅速な解析が実現されります。このサービスは、特に研究者にとって利便性が高いとされています。
どんな影響が期待されるのか?
アグロデザインの新しいサービスは、創薬研究や構造生物学研究においてそのスピードを加速させると期待されています。夏場でも途切れることなく測定が行える環境を提供することで、研究の進捗が大幅に改善されるでしょう。特に、国内の放射光施設の運転時間が限られる中で、フランスのESRFを活用することは、研究者にとって新たな選択肢が広がることを意味します。
終わりに
アグロデザインは、これまでの研究開発の集大成として、この新たなサービスを立ち上げました。同社の得意分野である創薬研究を加速させるためには、多様なアプローチが求められます。ESRFでのX線結晶回折測定サービスは、今後の研究成果に大いに寄与することでしょう。新しいサービスが実現したことで、多くの研究者が充実した研究経験を得られることを願います。また詳細な情報は、アグロデザインのウェブサイトで確認できますので、興味のある方はぜひアクセスしてみてください。
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