第5回更級日記千年紀文学賞の結果発表
2020年、千葉県市原市は「更級日記」の作者である菅原孝標女が帰京するため上総国府を出発してから1000年の節目に合わせ、『更級日記千年紀文学賞』を創設しました。そして、今年で5回目を迎えるこの文学賞の受賞作品が決定したことをお知らせいたします。
今年の応募作品はなんと3,000点と、過去最多を記録しました。この中には、市原市をはじめとする千葉県内の作品だけでなく、全国各地や国外からも多様な作品が寄せられています。応募部門は一般の部と小中学生の部に分かれており、それぞれの部門で大賞や優秀賞などが選ばれました。
一般の部の受賞結果
小説部門
- - 大賞: 「シアーライン」青山 祐一郎(千葉県船橋市)
- - 優秀賞: 「コスモス」栗原 知子(千葉県千葉市)
- - 選考委員特別賞:
- 「素泊りの客」相良 文雄(神奈川県)
- 「市原の父」佐藤 勉(京都府京都市)
エッセイ部門
- - 大賞: 「冷凍庫のワカサギ」田村 奈実(埼玉県三郷市)
- - 優秀賞:
- 「干し娘物語」鶴岡 和歌(千葉県市原市)
- 「回廊をわたる風」義田 葵(ニュージーランドネルソン市)
- - 選考委員特別賞: 「父の誤算」丸 房代(千葉県市原市)
選考委員長の椎名誠氏は、今回の応募作の質の高さを称賛し、特に小説の大賞受賞作である「シアーライン」の郷土への愛情と丁寧な筆致に注目しました。エッセイ部門では、作品が持つ人間の喜びや悲しみを直視した視点が高く評価されています。
小中学生の部の受賞結果
今年もテーマは「山」で、多くの優秀な作品が集まりました。応募総数は小学生2,044首、中学生749首という成果が上がり、これも過去最高となりました。
小学生部門
- - 大賞: 「山道で見つけた花にこっそりと名前をつけた秋の遠足」田中 玲奈(東京都日野市)
- - 優秀賞:
- 「山の中自然の音がなりひびく雨がふる音木がゆれる音」神田 七海(千葉県市原市)
- 「山白く風におされて通学路春はまだかと見つめる彼方」菊池 美瀬(岩手県奥州市)
中学生部門
- - 大賞: 「里山よりすべり降りてきた夏風がアロハシャツ着た祖父の背ぬける」横道 玄(山口県光市)
- - 優秀賞:
- 「人々がすすめていくよおんだんか山よたすけて山をたすけて」大友 煌月(千葉県市原市)
- 「山よりも高い私の夢はまだ登山途中だいざ、頂上へ」冨田 彩貴(長崎県佐世保市)
市原歌人会の講評によると、応募作品は実在する山をテーマにしたものだけでなく、自身の目標や環境問題について考察する内容もあり、短歌界に明るい未来が示されています。選考は、基準を満たし、個性的な表現を持つ作品が選ばれました。
受賞作品の公開と授賞式
受賞作品につきましては、更級日記千年紀特設サイト(
こちら)で閲覧可能です。の受賞を祝う授賞式は、令和7年11月15日(土)13時30分から市原市市民会館小ホールで行われます。選考委員長の椎名誠氏や市長、教育長も出席予定です。市原市における文学の新たな一頁となることを期待しています。