庄内地域の丸もち文化を支える新たなる取り組み
山形県遊佐町の「ゆざのチビちゃん丸もち」が、2025年3月10日から、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の生活クラブのお店「デポー」で販売されることが発表されました。この小ぶりの丸もちは、地域の食文化を支える新たな試みとして注目されています。
餅文化の継承と新たな町の挑戦
生活クラブは、1970年から庄内地域の提携生産者と連携し、当地の丸もちを取り扱ってきました。しかし、近年は生産者不足や工場の老朽化が深刻な問題となり、丸もちの製造が危機に瀕していました。そこで、地域の町や住民、生活クラブが力を合わせて、新たな餅加工会社「株式会社鳥海風土」を設立。この新工場は、遊佐町にある廃校となった旧藤崎小学校を活用しており、地域の働く場や交流の場としても期待されています。
作られる場所と伝わる技術
遊佐町では、小学校の統合により空き校舎が生まれ、その場所を餅製造に活用することで地域の課題解決を目指しました。新工場では、地元のもち米「でわのもち」を使用した「ゆざのチビちゃん丸もち」が製造されています。このもち米は、焼いても煮ても楽しめる、食べごたえのある品で、丸もちの直径は約3㎝と小ぶりです。
丸もちの文化と歴史
日本には、丸もちと角もちの二種類があります。歴史的には丸もちが広まりましたが、江戸時代からは角もちが東日本に浸透し、地域ごとに異なるもち文化が形成されました。庄内地域では、トレードルートである「北前船」を通じて西の文化が伝わり、丸もち文化が確立されたとされています。このため、地域の人々にとって丸もちは特別な存在です。
食べる喜びを伝える
新たな取り組みで生産が安定してくると、生活クラブはデポー店舗以外でも販売を行い、全国の組合員に宅配ができるようにする計画です。代表取締役社長の奥山仁志氏は、つきたての餅を味わってもらう場所の創設を夢見ています。工場内にはまだ使われていない部屋があり、交流スペースを設けて地域の人が集まる場にしたいと考えています。
生活クラブの取り組み
生活クラブは、食の安全や健康に配慮した商品の共同購入を通じ、持続可能なライフスタイルを実践しています。現在は約42万人の組合員が参加し、地域の人々と協力してローカルSDGsを推進しています。
私たちの生活の中に息づく丸もち文化の継承は、多くの人々の情熱と協力によって支えられています。これからも「ゆざのチビちゃん丸もち」が皆さんの食卓に彩りを添え、地域の文化を知るきっかけとなることを期待しています。