取組の背景
近年、千葉県内でも野生鳥獣の捕獲が進んでいます。 農林水産省のデータによると、令和5年度のイノシシの捕獲頭数は52.2万頭に達しており、その中で千葉県では3.5万頭が捕獲されています。しかし、ジビエとして活用されるのはわずか5千頭(約14.47%)という状況です。さらに、獣皮は今までほとんど活用されておらず、大半が廃棄されています。これは倫理的にも環境への負荷を考えると大きな課題と言えるでしょう。
シシノメラボの取り組み
千葉県内における皮革業者やジビエ関連業者で構成される有志団体「シシノメラボ」は、代表の辻榮亮さんを務め、獣資源の活用に向けた様々な活動を行っています。 彼らは「獲る→食す→創る/学ぶ→還す」というプロセスを通じて、持続可能な社会の実現を目指しているのです。特に注目したいのが、野生鳥獣の皮を使用して作られる「チバレザー」です。この取り組みは、動物の命を大切にし、無駄なく活用することを目的にしています。
チバレザーと「土に還る革」
チバレザーは、主にイノシシやシカ、キョンの皮を環境に優しい手法で製造した革製品です。この革は、土に還ることができる特性を持ち、持続可能性を考慮した新たなブランドとしての地位を築くべく進められています。 現在、ISO基準に基づく生分解試験も行われ、科学的にその特性が証明されつつあります。
イベント情報
さまざまな試みの一環として、シシノメラボは「土に還る展」を開催します。 2024年11月2日から4日までのプレ開催を経て、2025年2月8日から9日には本開催が予定されています。 会場は木更津市のKURKKU FIELDSです。このイベントでは、ジビエの利用法やチバレザーの魅力を広めることが期待されています。
社会的な意識調査
また、シシノメラボは来場者に対して意識調査を実施し、関心の高い層についても分析を行いました。アンケートでは、70.2%の参加者がイノシシやキョンの革に未接触であることが判明。 特にキョンの革に対して欲しいと思っている人は、97%と高い結果を示しました。これは今後の展開に大きな可能性を感じさせる結果です。
持続可能な未来を目指して
シシノメラボの活動は、農業や地域経済の活性化にもつながる取り組みです。獣資源の活用を進めることで、環境への配慮はもちろんのこと、地域の財産としての意識を高めることが重要とされています。30代、40代からの意見も多く寄せられ、関心を集めています。このように、シシノメラボの取り組みは地域全体の意識向上にも貢献しています。
まとめ
環境への意識が高まる中、千葉県内での野生鳥獣の資源化に取り組むシシノメラボの活動は、ただのビジネスにとどまらず、人々の生活や地域に新しい価値をもたらすものとなるでしょう。「チバレザー」としての新しいブランド化も含め、今後の展開に注目です。