高性能ドローンIBIS2導入による点検業務の革新
株式会社ネクスコ・エンジニアリング北海道が、先進的な点検技術としてドローン「IBIS2」を導入し、高速道路の橋梁点検業務に驚くべき効果をもたらしています。これにより、夜間通行止めを伴う点検作業を約4割も削減し、効率と安全性を向上させています。
ドローン導入の背景
北海道の高速道路には、800本近い橋梁があり、これらの点検は法令により5年ごとに行うことが義務付けられています。従来、点検作業は橋梁点検車を用いて実施し、作業中は車線規制や通行止めが必要不可欠でした。特に、片側車線の高速道路では、夜間22:00から翌5:00にかけて通行止めを行う必要があり、多くの人員が動員されていました。
しかし、少子高齢化の進行により、今後の人手不足が懸念される中で、効率的かつ安全な点検業務の確保が不安視されていました。
IBIS2の特性と選定理由
ネクスコ・エンジニアリング北海道では、点検業務の支援技術として、ドローンの導入を模索していました。特に注目されたのが「IBIS2」です。このドローンは、狭い場所でもスムーズに飛行できる設計で、展示会でのデモンストレーションを見た南恭兵課長代理は「IBISでできることは他のドローンでは難しい」と確信し、導入を決定しました。
IBIS2を導入したことで、人体が入ることが困難な狭い箇所や密閉された空間での点検も安全に行えるようになりました。これにより、作業者の身体的負担を軽減し、酸欠やその他の危険から保護することが可能になりました。
成果と効率化
IBIS2を用いた点検の結果、ネクスコでは夜間通行止めの日数を年間で38%削減することに成功しました。従来の橋梁点検車を使う必要がなく、日中の通常運行中に点検作業を行えるようになりました。この変化により、交通利用者への影響を最小限に抑えることが実現されています。
IBIS2を操縦するための訓練も行われており、4日間の短期間で高い操作技術を身につけることができました。これにより、現場での迅速な点検が可能になり、点検作業の精度も向上しています。
さらなる展開と今後の課題
ネクスコ・エンジニアリング北海道では、IBIS2の使用を橋梁点検にとどまらず、土木関連施設や異なる種類の点検対象への利用も計画しています。このように、IBIS2の導入は点検業務の新しいスタンダードとして根付く可能性が高まっています。
技術の進化により、「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)」としての取り組みを推進し、人口減少の中でも質の高い維持管理を実現するために、今後も新たな技術でのアップデートが期待されています。IBIS2の活用が、やがてはより多くの検証を通じて、今後の道路維持管理において重要な役割を果たすことは間違いないでしょう。
まとめ
IBIS2の導入による点検業務の効率化、安全性向上は、ただ時間を短縮しただけではなく、将来的な維持管理のあり方を変える大きな一歩となりました。このような先進技術の活用が、今後も私たちの安全な道路環境を守っていく鍵になるでしょう。