新たな製剤技術を発表した三生医薬
静岡県富士市に本社を置く三生医薬株式会社は、5月に東京で開催される「日本薬剤学会第40年会」において、新たな製剤技術の研究成果を発表しました。この技術は、難吸収性素材を対象とし、持続的な機能をサポートすることを目指しています。
研究背景と目的
クリルオイルは、豊富な不飽和脂肪酸を含むリン脂質を持ち、これまでに吸収性が高くない素材と組み合わせることで、吸収を助けることが知られてきました。研究者たちは、クリルオイルと中鎖脂肪酸(MCT)を組み合わせ、マトリックス様構造を形成することで、この吸収の持続性を深く研究。動物実験を通じて、より穏やかな吸収を実現できるかを検証しました。
実験と結果
吸収持続性の評価
実験では、吸収性が低い脂溶性成分「セサミン」を使用し、クリルオイルとMCTオイルの混合液に溶解し、ラットに単回で摂取させました。その結果、セサミン原末と比較して、クリルオイルとMCTオイルを混合した群では、より緩やかに持続して吸収されることが確認されました。
脂質低下機能の比較
さらに、7日間連続摂取後に50%コーン油を用いた脂質負荷試験を実施したところ、クリル+MCTにセサミンを溶解した群では、血中トリグリセリドの抑制が有意に確認されました。この結果は持続的な吸収と機能発現が両立していることを示します。
構造観察
水中エマルション観察により、油性成分とリン脂質から形成された微粒子がマトリックスに分散する様子を確認。このマトリックス構造は、消化管内での緩やかな放出と持続的な吸収を可能にすると考えられています。
学会発表の反響
研究成果を発表した日本薬剤学会で、多くの研究者や企業関係者から質問が寄せられ、研究の注目度の高さが伺えました。形式的な回答だけでなく、実用的なメカニズムの説明が求められる中で、今後の展開への期待も寄せられています。
技術の今後の展望
こうした研究は、特に吸収が困難な素材の処方最適化に関連する製品開発や、機能性サプリメントの新たな方向性を示すものと言えるでしょう。必要な企業にとって、重要なヒントとなることが期待されます。
研究の責任者コメント
三生医薬の常務取締役研究開発本部長、又平芳春氏は、「この新技術は、吸収が困難な素材をどう機能させるかを追求したものです。医療や健康食品市場において、この技術を活かし、付加価値を提案したい」と話しています。
お問い合わせ先
本研究の成果に興味のある企業や研究者の皆様は、三生医薬にお問い合わせください。また、製品開発や共同研究に関する相談も随時受け付けています。
所在地:静岡県富士市厚原1468
代表者:代表取締役社長 今村 朗
設立:1993年
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