千葉市で小型ドローンを活用した下水管点検業務を実施

千葉市で進化するインフラ点検

近年、全国各地で発生するインフラ老朽化の影響を反映して、点検業務の効率化と安全性向上が求められる中、千葉県千葉市において新たな試みが実施されました。株式会社Liberawareが進めるこのプロジェクトでは、小型ドローン「IBIS2」を活用することで、雨水貯留施設の点検を行っています。今回の点検業務は、千葉市の「トライアル発注認定事業」に基づき、下水道維持協同組合との協働によって実施されました。

トライアル発注認定事業とは？

「トライアル発注認定事業」は、千葉市が地域内の中小企業とその優れた新製品やサービスに焦点を当て、販路拡大を支援する取り組みです。この事業に認定されたことで、株式会社Liberawareは自社の技術を活かした点検業務に名乗り出ることができました。特に、同社のドローン技術が評価された結果、2024年11月25日にこの認定を受けることとなりました。

調査の背景と目的

今回の点検業務では、埼玉県八潮市での道路陥没事故を受け、ドローン技術を活用した新しいアプローチが模索され始めました。特に雨水管は曲がり角や閉鎖空間が多く、目視での点検が困難であって、老朽化や異常の早期発見が課題となっています。そこで、IBIS2を利用したスクリーニング調査が企画され、長らく点検されていなかったエリアを対象に実施されたのです。

実施内容と成果

今回の点検対象となった雨水管は、幅が5メートルを超える大口径で、従来の目視点検では手を触れないままでした。従って、作業員の安全を確保しながら、酸欠リスクを抱えた環境での点検業務には多くの課題がありました。しかし、IBIS2は約600メートルの直線距離を飛行し、曲がり角や狭い空間でも内部映像を取得するなど、大きな成功を収めました。

また、新型距離計測機器の検証も行われ、外部からの電波が届かない閉鎖空間において、ドローンの現在位置を即時把握できるかの実験も行われました。その結果、従来方式に比べて作業効率が向上し、点検精度の大きな飛躍も確認されました。特に、自己位置把握能力の向上がデータ整合性の確保につながり、報告書作成時にも役立つことが分かりました。

将来への展望

この調査を通じて、小型ドローンの活用がインフラ点検における安全性と効率性の両立を証明しました。IBISが現場で実績を積むことで、業界全体への標準モデルの確立が期待されます。国や自治体のインフラ維持管理が緊急課題となる今、IBISの運用が進むことで、効率やコスト削減に寄与するだけでなく、新技術として国土の強靭化にも貢献します。