デジタル終活のジレンマ: 資産承継とプライバシーの狭間
近年、デジタル資産への意識が高まりつつある中、家族への資産承継と同時にプライバシーを守りたいという矛盾した感情が浮き彫りとなっています。この心理的な葛藤は特に、40代から60代の富裕層を対象とした調査によるもので、家族への資産承継を望む一方で、自身のプライバシーが暴かれることを恐れる人々が多いことがわかりました。
調査の背景
デジタル資産とは、ネット銀行やネット証券、暗号資産取引所など、個人の資産に関連する情報がスマホやPCに集約されていることを指します。今の時代、重要な資産情報がデジタルデバイスに保存されているため、万が一の場合、情報を適切に引き継ぐことが極めて重要です。しかし、スマートフォンには仕事に関する情報や私的なメッセージも保存されているため、見られたくないという心理的抵抗感が存在しています。GOODREI社が行った調査によれば、資産情報は遺したいが、自分のプライバシーを明かすのは抵抗があるという現代特有のジレンマがあることが明らかになりました。
調査結果の詳細
1.
資産情報の承継を希望する人の54%がスマホ閲覧に抵抗感
調査対象の69%がデジタル資産の承継を望んでいますが、その中で54%が死後にスマートフォンを家族に見られることに対して「心理的な抵抗がある」と回答しました。家族への責任感から資産情報の承継を重視する一方で、プライバシーの侵害を懸念する声が多い現実がうかがえます。このジレンマが、万が一への備えを後回しにする原因ともなっています。
2.
パスワードを共有していても情報を見られることに抵抗
実際にパスワードを家族と共有している人は20%に留まりますが、その中の約3分の1が「スマホ内の情報を見られることに抵抗」を示しています。ここからも、個人の内面的な領域がデジタル情報に詰まっていることが見えてきます。
3.
34%が「見ることを阻止したい」と回答
特に会社員の35%が、「スマートフォンのデータが閲覧されることを防ぐためにはいくらでも払う意向がある」と答えており、中には「全財産を支払ってでも阻止したい」という意見も。これは、スマホ内のデータが単なる情報に留まらず、個人の尊厳と結びついているためと言えるでしょう。
4.
具体的なトラブルが意識を高める
また、デジタル終活に対する意識高揚には具体的なトラブルを知ることが重要です。60歳以上の人々の多くが「一定の年齢を迎えたとき」にデジタル遺品を考えるべきだと認識しているものの、トラブル事例を知らない人はおおむね備えが不要と考えています。このことは、リスクに対する認知を高めることがデジタル終活を促進する一因になるかもしれません。
今後の展望
GOODREI社は、これらの調査結果を基に、デジタル終活の重要性を広めるための活動を続けています。特に、2026年9月10日にはエンディング産業展においてセミナーを実施し、プライバシーの保護を重視した資産承継の方法を提案する予定です。このセミナーでは、デジタル終活の新たな視点から「残す・伝える・消す」に関する具体的な考え方を伝え、参加者の不安や疑問を解消することを目的としています。
デジタル社会に生きる現代人として、資産承継とプライバシー保護の両立は新しい価値観として求められています。家族に何を遺すか、また何を守るか。これが、私たちが新たに考えなければならない課題です。未来のために必要な一歩を踏み出すための準備を、今日から始めてみてはいかがでしょうか。