NECファシリティーズがVR技術を導入した新たな研修プログラム
NECファシリティーズ株式会社がこの春に発表した教育用VRコンテンツは、半導体工場における設備操作を習得する新しい形の研修を実現しました。この取り組みは、千葉県我孫子市に位置する「FM-Base®」で行われ、受講者はいつでもどこでも研修を行うことができます。
バーチャルトレーニングセンター
日本電気株式会社が提供するバーチャルトレーニングセンターを用いて、11種類の工場設備に関するカリキュラムをデジタル化。特に今回のVRコンテンツでは、圧縮空気設備 (コンプレッサ) の操作を学ぶことが可能です。受講者がMeta Quest 3のVRデバイスを装着すると、FM-Baseのリアルな環境が仮想空間に再現され、実機操作が体験できます。
自学自習を支援するシステム
また、受講者がシステムを通じて自分の作業結果を確認し、視覚的なフィードバックを受けることができるため、指導員が不在でも効果的に自己学習が行えます。この方式は、短期間での習得を可能にし、高度なスキルの定着を狙っています。さらに、将来的にはAIエージェントが受講者の進捗を分析し、個別にアドバイスを行う計画も進行中です。
FM-Baseの重要性
FM-Baseは、半導体や電子部品、医薬品製造に関わるインフラの管理を専門とする施設です。全国に約170拠点を有し、近年増加する人材の需要に応えるため、いかに早く適切な技術者を育成できるかが課題とされています。このような背景の中で、FM-Baseが持つ設備は、人材育成の重要な役割を果たしています。
2024年5月に稼働が開始されて以降、すでに846名以上の受講者がこの新しい研修に参加しており、実際の工場に即したトラブルシューティングの訓練やメンテナンス対応の学習が好評を博しています。
新しい研修環境の拡充計画
NECファシリティーズは今後、研修プログラムのコンテンツを増加させ、全国の拠点にVRデバイスを配備する計画を進めています。これにより、従来年に数回しか行えなかった研修を定期的に受講可能となり、受講者の実践的なスキル向上に繋がります。目標は、受講生の習熟度を50%以上向上させることです。
DX化の取り組み
同社は、工場の高効率な運営と顧客への高付加価値提供を目指して、DX化に力を入れています。2024年4月には専任のDX推進組織を発足させ、多岐にわたる17のプロジェクトを開始し、今後もさらなる発展が期待されています。
特に、FM-Base内のR&Dラボでは、設備のデータ収集自動化やエネルギー効率の可視化などの研究が進められています。今年からは3つの拠点で運用をスタートし、2025年度にさらに拡大予定です。
まとめ
NECファシリティーズの取り組みは、半導体工場での人材育成や運用の新しいスタイルを作り上げ、業界全体に良い影響を与えることでしょう。特にVR技術の導入は、教育の現場を大きく変革し、より多くの熟練者を育成する手助けとなるはずです。この新しい研修方式が、今後どのように発展していくのか注目が集まります。