千葉大学発の革新技術がもたらす医療教育の新たな可能性
千葉大学から生まれた新たなスタートアップ、株式会社OPQRSTは、医療者の問診力向上を目指す独自のAI技術を活用したシミュレーション「OPQRST」を開発しました。2024年2月の創業に向けて、同社は医療のDX化と教育の革新を遂げることを目指しています。
医療者と患者の信頼関係を育む
問診は医療の根幹を支える重要なプロセスです。患者との信頼関係を築き、共に意思決定を行うためには、医療者の優れたコミュニケーション能力が不可欠です。しかし、医学生が実際の患者と接する機会は限られています。最近では訪問診療やオンライン診療が普及し、多様な状況でのコミュニケーション能力が求められています。
現行の課題を解決するAI模擬患者
現在は、医療面接の練習や公的試験は模擬患者ボランティアによって成り立っていますが、その確保や育成が難しい現状があります。千葉大学医学部附属病院では、OSCE(客観的臨床能力試験)を通じて試験が実施されていますが、98.6%の医学部が模擬患者の確保に悩むというデータも存在します。
この課題を解決するため、株式会社OPQRSTはAI模擬患者を用いたシミュレーションを開発しました。この革新的なアプローチにより、医学生は反復練習を通じて問診スキルを磨ける環境が整います。
高度なコミュニケーション能力を磨く
「OPQRST」は、医学生が実際の模擬患者と同様のシナリオで問診を行うことができるウェブサービスです。また、フィードバック機能も備えており、自身のスキルを客観的に分析することが可能です。最初の段階では、高頻度の疾患に基づく47種類の症例が用意され、今後更に症例数を増やす予定です。これにより、医学生は診断能力を向上させるだけでなく、状況に応じた文脈や感情を意識したコミュニケーションスキルも養うことができます。
公益財団法人ひまわりベンチャー育成基金のサポート
OPQRSTは、千葉県内のベンチャー企業支援を行う公益財団法人ひまわりベンチャー育成基金の助成金事業に採択されました。これにより、より多くの医療者が自信を持って問診に臨む社会が実現されることが期待されています。
経営陣の紹介
株式OPQRSTの経営陣には、信頼できる医療の専門家が揃っています。代表取締役社長の栁田育孝は、千葉大学医学部附属病院での臨床・教育経験を背景に、AIを通じた医療教育の革新を目指しています。
取締役の横川大樹は、AI技術を医療に応用する研究を重ねており、臨床現場で得た知見を生かした教育活動を展開しています。内田瞬も医療法人うさぎ会の院長として、臨床と教育の現場で活動を続けています。
未来へ向けた展望
「OPQRST」は、今後音声入出力やAIによる3Dシミュレーションなど、さらなる機能追加を計画しています。医学教育の領域におけるDX化は急務であり、株式会社OPQRSTはこの分野でのパイオニアを目指して邁進しています。
千葉大学発のスタートアップ、株式会社OPQRSTは、医療教育の革新に向けた取り組みをすることで、未来の医療を支える人材の育成を進めています。