眠気リスクをAIが予測!物流業界での安全運行を目指す実証実験
日本の物流業界が直面する課題の一つとして、ドライバーの眠気による事故が挙げられます。少子高齢化の影響で運転従事者の数が減少する中、ドライバーの心身にかかるストレスは増大しています。そこで、株式会社アドダイスとセイノーラストワンマイル株式会社が共同で、心身の眠気リスクをAI技術で測る実証実験に挑戦します。
1. 眠気スコアの導入背景
アドダイスは特許取得済みの「予兆制御®AI」を用いて、ドライバーが無意識に抱える眠気の兆しを捉える新たなアプローチを開発しました。この「眠気スコア」は、ドライバー自身が気付いていない状態でも、心身の健康状態に基づいて眠気のリスクを示します。このシステムの導入により、ドライバーが安全に運行を続けられる環境を構築することを目指します。
特に、物流業界は今後さらに人手不足が進むと見込まれるため、事故を未然に防ぐための健康管理がますます重要になってきています。アドダイスはこの「眠気スコア」を使い、運行管理者がリアルタイムでドライバーの健康をモニタリングすることで、大事故につながるリスクを低減させる狙いです。
2. 実証実験の概要
この実証実験は、2025年1月から4月まで行われ、以下の企業が参加します。ココネット株式会社、株式会社地区宅便、日祐株式会社、これらの企業が協力し、実験の効果を検証します。
ドライバーには、バイタルデータを測定するためのスマートウォッチが装着されます。心拍数などのデータは AI に送信され、「いまの眠気(実測値)」と「未来の眠気リスク(予測値)」が 0 から 10 のスコアとして表示されます。これにより、施設の管理スタッフが適切な対応を行うことができます。
検証内容
本実証実験では、次の三つの主要な検証が行われます。
1.
眠気スコアの精度測定: AIがドライバーの眠気状態をどの程度正確に把握できるかを評価し、アンケートを通じた実感とのズレを修正します。
2.
安全性向上への効果: 眠気スコアが高まった際にアラートが発生することで、事故防止にどの程度寄与するかを検証します。
3.
データ収集とAIの性能向上: 実際のデータを収集し、AIの学習モデルを改善するための研究を行います。
3. 企業の紹介
セイノーラストワンマイル株式会社
2024年に設立されたセイノーラストワンマイルは、「ラストワンマイル」と呼ばれる物流サービスの最終接点に特化しています。社会課題解決型のビジネスを展開し、買い物弱者、過疎地域の問題などに取り組んでいます。
株式会社アドダイス
アドダイスは「予兆制御AI」をはじめとする特許技術を活用し、多岐にわたる産業分野での安全管理に寄与しています。特に、心身の健康を守る医療・ヘルスケア分野での応用にも力を入れています。
まとめ
アドダイスとセイノーラストワンマイルの共同研究による未来の眠気リスクの捉え方は、物流業界の安全運行において新たな可能性を示唆しています。今後、実験の成果が義務化されることで、ますます安全な運転環境が整うことが期待されます。これにより、ドライバーの健康と安全が確保され、効率的な物流サービスの提供が実現されることを願っています。