木更津高専「高専キャリアラボ」第12回講演会の開催
千葉県木更津市に位置する木更津工業高等専門学校(通称:木更津高専)は、令和7年10月20日(月)に「高専キャリアラボ」第12回講演会を開催しました。このプログラムは学生のキャリア形成を支援する特別学修の一環として位置付けられており、例年、各界で活躍する企業人を講師として招いています。今年度の講演は全5回を想定しており、今回の講演が最終回となります。
経済同友会・村瀬氏が語るキャリアデザインの重要性
今回の講演では、経済同友会の会員である株式会社MIXIの取締役上級執行役員、村瀬龍馬氏が登壇しました。彼は「技術で人を魅了し、キャリアを築く」ことの重要性について具体的な事例を交えて語りました。特に、エンターテインメント性を取り入れたものづくりや、AI時代における必要なスキル、自身の価値観に基づくキャリア形成を強調しました。
村瀬氏は、「単に仕様通りに作成するだけでは、真のユーザー体験を提供することはできない」と述べ、課題解決の重要性とともに、それだけでは不十分であることを指摘しました。MIXIが掲げる「ユーザーサプライズファースト」の理念を基に、ユーザーの期待感を演出する方法についても触れました。具体的には、UIデザインで揺れや暗転、集中線を効果的に取り入れ、ユーザーが次に何が起こるのか期待する気持ちを高めるテクニックが紹介されました。
AI時代に求められるスキルとキャリア設計のヒント
また、村瀬氏はAIの導入によって業務の効率が劇的に向上している現状についても言及しました。具体的には、MIXIでは99.02%の社員がAIを利用しており、従来であれば3日かかっていた動画制作が半日で済むようになったという実例を挙げて、その効率化の影響を強調しました。「AIを使うだけでは不十分で、出力を理解し評価できる能力が求められる」とし、AIリテラシーの重要性を説きました。
村瀬氏の講演は、キャリアのゴールは肩書きではなく、自分の価値観に沿った生き方であるべきだというメッセージで締めくくられました。肩書きはただの手段であり、むしろ多様なスキルを組み合わせていくことがキャリアの可能性を広げると述べ、ゲームのスキルツリーに例えました。
質疑応答と学生たちの反響
講演の後には活発な質疑応答が行われ、学生たちからは多岐にわたる質問が寄せられました。メンタル面でのおすすめ本の紹介を求められた際には、村瀬氏は『Standing at the Edge』を挙げ、心のバランスの大切さについて話しました。また、イベント後の燃え尽き症候群についての質問には、シンプルに「30秒だけ動く」と助言しました。
デザイン分野でのAIによる仕事の奪取についての懸念に対しては、AIができることには限界があり、創造性や修正力が必要であることを説明しました。その上で、社内コミュニケーションの重要性にも触れ、日常的に議論を交わしていることを説明しました。最後に、「マルチタスクではなく、いかにシングルタスクに集中できるかが重要」と語りました。
学生たちの感想と今後の展望
講演後、多くの学生が「自分の価値観を軸にキャリアを考えることが大切だ」と感じたとのことです。「肩書きよりも自分の価値観」「成功は自分で定義する」といった言葉が印象に残ったという声が多く寄せられました。今後も木更津高専は経済同友会との連携を通じて、学生が自身の未来を描くための支援を続けていく方針です。
詳細については、木更津工業高等専門学校の公式ウェブサイトをご覧ください。