鉄道インフラの未来を支える「Project SPARROW」が新たな技術成熟度に到達
千葉県千葉市に拠点を置く株式会社Liberawareが、鉄道点検用の自動巡回型ドローンを開発する「Project SPARROW」が、技術成熟度レベル(Technology Readiness Level、TRL)5を通過したことを発表しました。この達成により、本プロジェクトは実用化に向けた次のステップ、つまりTRL6以上への進展が期待されています。
「Project SPARROW」について
「Project SPARROW」は、鉄道現場での巡視や点検、自然災害時の施設確認を行うドローンを開発するプロジェクトです。このドローンは、集めた情報をもとにデジタルツインプラットフォームで閲覧・分析可能なシステムとなっており、鉄道インフラの点検業務の安全性と生産性を大幅に向上させることを目指しています。
特に、人口減少に悩む地方路線では、このソリューションが大きな効果を発揮します。災害発生時には、ドローンがリアルタイムでデータを収集し、復旧を迅速化することが可能です。これにより、強靭なインフラを構築することができ、安全で安心な社会実現に向けた一歩を踏み出しました。
プロジェクトの実施にあたっては、リベラウェアが採択された「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」に基づくもので、鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術の開発と実証が求められています。この取り組みには、52億円の補助金が交付されており、非常に期待されている事業です。
TRL5通過について
TRL(Technology Readiness Level)は、技術の成熟度を示す国際的な指標であり、TRL5の通過は「実環境に近い条件下での統合システムの検証」を意味します。今回は以下の成果が確認されました。
1.
鉄道環境対応ドローン(リベラウェア):ドローンが飛行中に指示に応じて経路を変更し、待避後に次の指示を受けることが可能。
2.
運航管理システム(KDDIスマートドローン):計画ルートの設定と待避指示、復帰指示を出す機能が実現。
3.
デジタルツインプラットフォーム(CalTa):ドローンの位置表示やその位置での映像再生が可能。
これらの成果をもとに、次なるTRL6では、実際の鉄道事業者のニーズに合ったシステム開発を行い、TRL7では実地運用を目指します。
開発スケジュール
具体的な開発スケジュールについては、これからのアップデートをお待ちください。各関係企業が連携し、進捗状況を報告していく予定です。
企業概要
CalTa株式会社
鉄道やインフラ業界のデジタル化を推進するスタートアップで、自社開発のデジタルツインプラットフォーム「TRANCITY」を活用し、効率的なインフラ管理を実施しています。
KDDIスマートドローン株式会社
ドローン制御のサービスを提供し、さまざまな分野でのニーズに応えています。また、無人航空機操縦士の資格コースも提供しています。
株式会社Liberaware(リベラウェア)
屋内空間での点検・計測に特化したドローンの開発を行い、安全な社会の実現に貢献しています。
このように、Technology Readiness Level 5を通過した「Project SPARROW」は、鉄道インフラの未来を支える重要なステップを踏み出しました。今後のさらなる進展が期待されています。