佐々井秀嶺師とインド仏教の復興
インドで約1億人の仏教徒を率いる佐々井秀嶺師が、初の単行本『闘う菩薩道:我が使命いまだ尽きず』を発表しました。この本は、彼の半世紀以上にわたる活動と、インドでの不可触民解放運動への貢献に焦点を当てています。
著書の内容と背景
この新刊は、過去に発表された佐々井師の著作『必生 闘う仏教』と『求道者:愛と憎しみのインド』を集約し、新たに書き下ろしの内容を加えたものです。また、日本各地の彼とゆかりのある寺院を紹介する地図も収録されています。これは、仏教が持つ思想の普遍性と、人権問題としてのカースト差別を考えるための重要な資料となるでしょう。
インドのカースト制度とは
インドのカースト制度は、紀元前16世紀ごろから続く差別の制度であり、不可触民(ダリト)と呼ばれる集団が特に厳しい差別を受けてきました。憲法によって平等が保証されているにもかかわらず、未だにこの差別は根強く存在しており、その数は全国で約2億人にのぼります。佐々井師はこの状況に対して、仏教の教えを通じて解放の道を模索しています。
アンベードカルの影響
不可触民解放運動の先駆者、ビームラーオ・アンベードカル博士は、自らも不可触民出身であり、彼の活動が後の仏教復興運動の基盤となっています。1956年に行われた大改宗式には、30万人から50万人の人々が参加し、一世を風靡しました。彼の思想は、平等を重んじる仏教の理念と密接に結びついています。
佐々井秀嶺師の功績
佐々井秀嶺師もまた、この運動を引き継ぎ、カースト差別に立ち向かう活動を展開してきました。彼は2003年に仏教代表としてインド政府のマイノリティコミッションに就任するなど、政治の場でも影響力を持っています。彼のドキュメンタリー『男一代菩薩道』は、彼の活動を広く知らしめるきっかけとなりました。
近年の活動と注目
彼の活動はメディアにも取り上げられ、佐々井師の思想に共鳴する多くの支援者が生まれました。特にIT起業家の小野裕史氏が佐々井師に出会い、出家したことは大きな話題となっています。今や小野氏は法名「龍光」として新たな道を行っています。
新刊『闘う菩薩道』の意義
本書は、単なる自伝に留まらず、インド社会と仏教の関わりについて深く考察する一冊です。佐々井秀嶺師の言葉は、インドにおける不可触民問題や仏教の役割を理解する上で欠かせないものとなっています。インドの仏教的視点から、世界の人権問題を見つめ直す必要性を訴えかけています。どんな時代においても仏教が持つ教えが、私たちにとって重要な指針となるでしょう。
新刊『闘う菩薩道』は、2025年12月5日から全国書店やAmazonにて発売されます。仏教や人権問題に興味がある方は、ぜひ手に取ってみてください。佐々井秀嶺師の人生と思想に触れることで、新たな視点を得ることができるでしょう。