葬儀業界のDX推進、オンラインサービスの特許取得とその効果
LDT株式会社(東京都渋谷区)は、葬儀の参列者が供花や供物をオンラインで選び、決済までできる「供物情報提供システム」について日本国内で特許を取得したと発表しました。この技術は、同社が推進する葬儀DXサービス「スマート葬儀」に導入されており、葬儀業界における効率化と利便性向上に寄与しています。
葬儀業界の現状と課題
現在、葬儀業界は深刻な人材不足に直面しています。2024年12月の時点で、葬儀師や火葬係の有効求人倍率は7.59に達し、全産業平均1.35を大きく上回る結果となっています。これに対し、近年の葬儀需要は増加傾向にあり、2024年には亡くなる方の数が160万人を超える見込みです。人材不足が慢性化する中で、葬儀の準備に多くの時間がかかる問題が顕在化しており、葬儀を行えないケースも増えています。
代表の白石和也氏は、自らの家族の葬儀を経験し、情報や確認作業がアナログで煩雑であることを痛感しました。この体験が基となり、デジタル化を進めることで、葬儀業界の非効率性を解消する必要があると考えました。
技術革新と導入効果
特許取得した供物情報提供システムは、葬儀の準備をスムーズにするための自動化ツールです。このシステムを利用すると、参列者はスマートフォンで供花や供物を選べ、手続きの整合性が得られます。これにより、誤発注や手戻りが減少し、注文数の増加が見込まれます。
千葉県の株式会社しおかぜの代表である秋葉恵光氏は、「FAXや電話での受注が減り、参列者が直接スマホで内容を選べることで、手戻りが激減しました。結果的に訃報ページの閲覧数を元に準備を進められるようになり、業務が効率化しました」と述べています。
このシステムの導入は、葬儀に関する作業の見える化を促進し、搬入や人員配置の最適化を図ることに寄与しています。また、参列者が注文状況を確認できるため、業務のコール負荷も軽減されます。
スマート葬儀の未来
LDT株式会社では、「まず一会館、一施行からスタートし、徐々にデジタル化を進めましょう」と提案.しています。特許取得の供物情報提供システムを駆使し、供花の手配をタイムリーに行うことで、ご遺族への感謝の気持ちを表し、心に残る葬儀を実現することが目指されています。
LDT株式会社の取り組み
LDT株式会社は2019年に設立され、AgeTech(エイジテック)分野での技術開発に注力しています。高齢者を支える情報プラットフォームを運営し、さまざまな関連サービスを提供しています。また、オンライン葬儀管理システム「スマート葬儀」は、葬儀業界のデジタル化を推進し、効率的な運営を可能にしています。