木更津高専での特別講演会のご紹介
木更津工業高等専門学校(千葉県木更津市)では2023年8月4日、学生のキャリア形成を支援するために特別学修「高専キャリアラボ」の第10回講演会が開催されました。このプログラムは、経済同友会との連携により、企業経営者を講師に招いて実施されており、今年度は全5回のシリーズが予定されています。今回がその第4回目となりました。
法学部出身のIT企業経営者、桜井伝治氏の講義
講師としてお迎えしたのは、日本情報通信株式会社の代表取締役社長執行役員、桜井伝治氏です。桜井氏は法学部を卒業後、プログラミングの経験がないまま、かつての電電公社(現在のNTT)に入社し、通信業界での多様な経験を積んできました。今回の講義テーマは「自分にとって働くとは?」であり、彼のこれまでの挑戦や大きな挫折から得た教訓を学生と共有しました。彼の言葉は、若い世代に大きな刺激を与えるもので、「挑戦する勇気」と「諦めない心」の重要性について感銘を受けました。
講演内容のハイライト
桜井氏の講演は、まずクイズから始まります。彼が提示したのは、「Pythonを学びかけた60代男性がインベーダーゲームを作るのにかかる時間は?」という内容で、AIの導入によって「10分で作れる」と回答し、会場は驚きで包まれました。このように、技術の進化を肌で感じられる機会が学生たちの関心を惹きつけたようです。
次に、桜井氏は自己分析の手法について紹介しました。「できること(CAN)」と「やりたいこと(WANT)」、「なすべきこと(SHOULD)」を掛け合わせ、学生が自分の強みや興味を深く探るワークショップが行われました。自身のコミュニケーション能力に自信を持つ学生や、リーダーシップスキルを高めたいと願う声など、前向きな意見が多く寄せられました。
さらに、桜井氏は成功に必要な要素として稲盛和夫氏の名言を紹介しました。彼は「人生や仕事の結果=能力×熱意×考え方」という方程式を挙げ、特に考え方の重要性を強調しました。技術力だけでなく、社会人としての道徳心や他者への思いやりも、成長には欠かせないと語りました。
また、桜井氏は生成AIクライアントアプリ「NICMA」の開発についても触れ、生成AIの活用がもたらす業務の効率化や革新の重要性について学生たちにアピールしました。この内容は、未来を担う高専生にとって非常に価値のある情報でした。
学歴より大切なもの
桜井氏は「学歴と業績評価に相関はない」と述べ、学生に対して資格取得や自分が戦うフィールド選択の重要性を呼び掛けました。彼は、成長には個々のタイミングがあることを優しく伝え、「今できることをやってみて、将来の自分を考えることが大切だ」というメッセージを伝えました。
講演後の質疑応答では、語学や自己啓発に関する質問が数多く寄せられました。桜井氏は「良質なアウトプットのためには、良質なインプットが不可欠だ」とし、読書の重要性を強調し、おすすめの書籍も披露しました。学生たちの新学期に向けた学びへの意気込みが感じられる有意義な時間となりました。
木更津高専について
木更津工業高等専門学校は1967年に設立され、これまで58年間にわたり、8510名以上の本科卒業生と769名の専攻科修了生を輩出しています。国際的視野を持ち、自ら考え行動できるエンジニアの育成を目指し、社会で幅広く活躍できる人材を育てています。さらに、健康な身体と豊かな心を育むことにも注力しています。
学校概要
- - 学校名: 独立行政法人国立高等専門学校機構木更津工業高等専門学校
- - 所在地: 千葉県木更津市清見台東2-11-1
- - 校長: 先村律雄
- - 設立: 1967年
- - URL: 木更津高専公式サイト
- - 事業内容: 高等専門学校・高等教育機関
このように、木更津高専では社会で活躍するためのノウハウをしっかりと学ぶことができる場が提供されています。今後の「高専キャリアラボ」も注目していきたいですね。