国立大学法人岡山大学は、2025年7月7日に岡山商工会議所と提携し、地域の企業と学生が協力してCO₂排出量の可視化にチャレンジするプロジェクトを始動しました。このプロジェクトは、岡山県商工会連合会との連携のもと、令和5年度に立ち上げられ、今年度はその規模を拡大し、実践的な脱炭素支援を行うことを目指しています。
この活動の背景には、カーボンニュートラルの実現が求められている現在、企業だけでなく、サプライチェーン全体での温室効果ガス削減が不可欠であるという認識があります。特に、その第一歩として重要なのが「見える化」です。本プロジェクトでは、岡山大学の天王寺谷ゼミに参加する学生が中心となり、岡山商工会議所のメンバーである有限会社東山冷機の製品やサービスを対象に、経済産業省や環境省のガイドラインに基づいてカーボンフットプリント(CFP)の算定に取り組みます。
ワークショップでは、岡山大学の舩倉隆央副本部長が中小企業のカーボンニュートラルへの取り組みについての講演を行い、その後、天王寺谷准教授がカーボンフットプリントを使用して中小企業の企業価値を高める方法について説明しました。この中で、有限会社東山冷機の代表取締役である小原章弘氏が自身の会社の紹介を行い、学生たちとの意見交換が行われました。このディスカッションでは、オゾン層への影響や再生フロンの効果に関する質問が多く寄せられ、活発な議論が展開されました。
参加した学生たちからは、「CO₂排出量の『見える化』だけでなく、オゾン層保護についても考える良い機会となった」という感想があり、特にフロンの温室効果がCO₂と比較して数千倍も影響があることを知り、その重要性を感じた声も存在しました。このように、参加者の意識の向上が見られることは、今後の取り組みにとって重要な要素となるでしょう。
小原代表取締役は、再生フロン事業を強化するために、学生からの新たなアイデアを取り入れようとしているとし、「新たな価値を創造するために全力を尽くしていきたい」と語りました。年内には、学生たちと共に有限会社東山冷機の工場見学を行い、製造プロセスを確認しつつ必要なデータを収集し、CFPの算定を進めていく計画です。また、得られた経験を地域社会に還元していくことで、脱炭素経営に対する意識向上を図る考えです。
このプロジェクトは、昨年度に岡山大学が環境省の「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に採択されたことを基に進められています。今年度はその成果を元に、支援体制や企業との連携をより一層強化し、実践的かつ影響力のある取り組みを実現することを目指しています。
今後も、岡山大学と地域企業、支援機関が連携し、地域全体の脱炭素化に向けた努力を続ける姿勢が求められます。岡山大学の積極的な取り組みに注目が集まります。
これにより、地域における持続可能な発展が進み、地域のプレーヤーたちが共に力を合わせて未来を切り拓いていくことが期待されます。