柏市での新技術導入:AIチャット相談の取り組み
柏市内の教育現場で、株式会社ZIAIが開発した生成AIを活用した悩みチャット相談システムが試験導入されました。このシステムは、いじめや不登校、児童虐待といった深刻な問題を抱える子どもたちに対して、早期に問題を発見し、解決の手助けをすることを目的としています。実際の実績は、満足度93.6%という高評価が示す通り、多くの生徒がこの新たなサポート体制を受け入れています。
背景
日本では、いじめや不登校の問題が年々増加しており、令和4年にはいじめの認知件数が68万1948件に達しました。不登校の生徒も同様に増加しており、子どもたちが抱える悩みを一人で解決せざるを得ない状況が続いています。今や、ひきこもりや児童虐待の問題も含めて、教育環境の改善が求められています。
学校のスクールカウンセラーも存在しますが、非正規職員であることが多く、相談体制が整っていません。そのため、教員や養護教諭が生徒の変化に気づく役割を担っているものの、その負担は増加し続けています。このような状況下で、生徒が安心して悩みを相談できる環境をつくることが急務であることに見直しが迫られています。
モデル実証の概要
AIチャット相談システムは、柏市の小学校と中学校をパイロット校として、2024年10月21日から2月10日まで運用されます。生徒は24時間、いつでもどこでも悩みを相談でき、ストレスを軽減するための体制が整えられました。
このシステムでは、生徒がAIに悩みを吐露することで、傾聴や共感の体験を通じてストレスを緩和できます。必要に応じて、教員やスクールカウンセラーに相談をつなぐ機能もあり、初期対応がめざましい取り組みとなっています。
実際には、高校においてもすでに実証事例があり、AIに相談することで不登校や自殺予防につながったケースが報告されています。
モデル実証の結果
これまでの実績を見てみると、相談件数は外部カウンセラーへの相談窓口に比べて10倍以上の増加を見せました。相談に要した総時間は275.4時間、1回の相談あたり平均9ターンの対話が行われています。また、93.6%という高い生徒満足度が、このシステムの効果を物語っています。生徒たちからは「先生や家族には言えないことも、AIには簡単に言える」「相談しても誰にもばらさないから安心」といった声が寄せられています。
今後の展望
今回のモデル実証結果から、テクノロジーが教育現場において果たす役割の重要性が再確認されました。AIはあくまで初期の接点として機能しながら、必要な支援へとつなげる重要な役割を果たすことが期待されています。今後、ZIAIはAIアルゴリズムやシステムの継続的な改善を行い、より多くの教育機関での導入を進めていくとともに、生徒への周知方法の模索に取り組む予定です。
株式会社ZIAIは、これからも誰もがいつでもどこでも悩みを相談できる社会の実現を目指し、努力を続けることでしょう。