千葉に新たな風を吹き込む「循環葬®」の取り組みと景観生態学の融合
最近、日本景観生態学会で行われた発表において、at FOREST株式会社の循環葬®︎「RETURN TO NATURE」が注目を浴びています。この取り組みは、社寺林の持続的な保全と収益化を目指し、環境に優しい方法で埋葬を行う新しい形の葬送を提案しています。
1. 循環葬の背景
日本には、実に7万以上もの寺院が存在していますが、近年は檀家の減少や人手不足により、境内の森林が手入れされなくなるケースが増加しています。このまま放置されると、貴重な自然資源が失われる危険性があります。そのため、循環葬®︎の森林アドバイザーである神戸大学の石井教授が中心となり、放棄された森林を保全・管理する新たな方法を模索してきました。
2. 景観生態学と循環葬の融合
日本景観生態学会は、自然の過程や地域計画に科学的根拠を提供することを目指す学会です。循環葬®︎の取り組みがこの学問分野とも関わりを持つことで、社寺林の問題を解決する一助となり得ることが期待されています。放棄林を自然に近い状態に再生するこの試みは、葬送だけでなく、地域全体の環境を考える上でも重要です。
3. 千葉における実践
特に、千葉に新たに設立された関東初の循環葬®︎拠点では、手入れがされていないヒノキの人工林を再生し、自然林へと誘導する試みが行われています。従来の単調なヒノキ林を多様性豊かな自然林へと変えることを目指し、必要な間伐や植樹を実施することで、地域の生態系を改善していく予定です。
この拠点では、放棄されたヒノキ林を「埋葬エリア」、隣接する自然の森を「憩いのエリア」に整備することで、訪れる方が自然の中で癒しのひとときを過ごせるよう工夫されます。このような新たな取り組みが、地域の環境保全とともに、持続可能な未来を切り開くきっかけとなっていくのです。
4. 今後の展望
循環葬®︎RETURN TO NATUREの推進により、社寺林の放棄問題は解決の方向へ向かう可能性があります。本プロジェクトは、単に葬送の新たな選択肢を提供するだけでなく、次世代に持続可能な自然環境を残すための重要な役割を果たしています。今後も、at FORESTは石井教授と連携し、さらなる研究と調査を進めていくことでしょう。
このように、循環葬®︎は環境問題と死生観を結びつける新たなアプローチとして、地域に新しい価値を生み出しています。これからの展開にぜひ注目していきましょう。