超高速育種によるレタス品種開発、千葉で新たな挑戦がスタート
千葉大学発のベンチャー、リーフ・ラボと、茨城県水戸市を拠点とする株式会社クォンタムフラワーズ&フーズ(QFF)が協力して、植物工場向けの新たなレタス品種の開発に挑むことが明らかになりました。両社は、量子バイオテクノロジーを利用した革新的な育種技術を駆使し、従来の農業の課題に立ち向かうことを目的としています。
共同研究が始まった背景
近年、気候変動の影響で異常気象が頻発し、農業は厳しい状況に直面しています。また、都市部への人口集中や高齢化が進む中で、農業従事者の減少が顕著で、技術の継承が難しくなっています。これらの問題を解決するために、QFFとリーフ・ラボは、超高速育種技術を活用した共同研究をスタートさせたのです。
この研究において、QFFの持つ中性子線育種技術は非GMOであり、安全性が高い点が大きな特徴。これに対して、リーフ・ラボは、精密環境制御型植物工場を利用して、安定した生産性を確保しつつ、高品質な植物品種を育成できる技術を有しています。両社の強みを融合させ、高機能なレタス品種の短期開発を目指しています。
両社の育種アプローチ
QFFの中性子線育種は、突然変異を誘発し、多様な機能的変化を高効率で実現することが可能です。一般的な化学薬剤を用いた育種法に比べて、対象外の影響を抑えられるため、より柔軟に変異を導入できます。一方リーフ・ラボは、人工光型植物工場を用いた育種において、特に高いチップバーン耐性を持つレタスの開発に成功しており、環境に応じたテイラーメイド育種が可能です。
開発の意義と今後の展望
このプロジェクトは、世界の食料問題に対応し、安全で高品質な食の供給を実現するための重要な一歩です。QFFの菊池社長は、「気候変動や人手不足により、従来の農業では安定供給が難しくなる中、この共同研究が食のインフラを支える鍵になると確信している」と意気込みを示しています。
リーフ・ラボの丸尾社長も、「急激な気候変動に対して、迅速に育種法を進化させることが必要である」とし、超高速育種の実現に期待を寄せています。今後は、レタス品種の商用化を2025年度に見据え、さらなる応用展開を目指していく予定です。
会社概要
〒310-0851 群馬県水戸市見川町2563-77 ルレーブ見川 2-101
代表者: 菊池伯夫
設立: 2018年7月
事業内容: 中性子線スピーディ育種®の提供、量子バイオテクノロジーの研究開発
URL:
www.qff.jp
〒277-0882 千葉県柏市若柴178-4 柏の葉KOIL 6階
代表者: 丸尾達
設立: 2020年5月
事業内容: 植物工場向け品種の開発、育種、栽培技術開発
URL:
leaflab.tech
この共同研究がもたらす成果に期待が寄せられます。