日立産機が切り拓く新たな電力供給の未来
千葉県習志野市にある株式会社日立産機システムが、新技術「グリッド・フォーミング・インバータ(GFM)」を導入したことが明らかになりました。この次世代インバータの導入により、2025年4月から再生可能エネルギー利用のための安定した電力供給が可能になる見通しです。この革新技術は、再生可能エネルギーの発展を支援しつつ、カーボンニュートラル社会の実現にも寄与することを目指しています。
GFMの背景とは
日本の電力供給は、地域ごとに異なる周波数(東日本が50Hz、西日本が60Hz)で運用されており、そのバランスを保つことが重要です。しかし、火力発電が減少し、再生可能エネルギーが増える中で、電力系統の「慣性力」が不足する恐れがあります。この慣性力が不足すると、周波数の変動が激しくなり、電力供給に不安をもたらします。その問題を解決するためにGFMが開発されました。
グリッド・フォーミング・インバータの特長
GFMは、再生可能エネルギーが発電する際の慣性力を仮想的に生成するデバイスで、電力系統の安定化を実現します。また、複数のGFMが協調して自律的に動作することで、マイクログリッドの構築が可能となり、地域の電力レジリエンスの向上が期待されます。この技術により、災害時でも安定した電力供給が実現できるのです。
習志野事業所の新設設備
習志野事業所では、合計81.9kWの太陽光発電設備が新設され、年間で約39.2トンのCO2削減が計画されています。このシステムには、信頼性の高い2つのマイクログリッドが設置されており、万が一の停電時にも必要な電力が自動的に供給される仕組みが整っています。
1.
GFMによる交流マイクログリッド
GFMが制御する交流のマイクログリッドを3台のGFMが作り出しました。太陽光発電の電源が変動しても、このシステムが自立して安定的に給電を行うため、事業所の給水ポンプや放送設備に途切れることなく電力が供給されます。
2.
省CO2を実現する直流マイクログリッド
直流給電網が整備され、太陽光システムから電力が供給されます。直流の電力はエネルギー損失が少なく、余った電力は蓄電池に蓄えることが可能です。さらに、商用交流系統が停電した際には蓄電した電力を利用することができるなど、災害時の対策にも優れています。
この新たなシステムは、環境省の補助金にも採択されており、持続可能なエネルギー利用のモデルとして期待されています。
日立産機システムについて
日立産機システムは、最新の技術を駆使して多様な業界の生産性向上に貢献しており、今後も革新的なソリューションの提供に尽力していきます。市民のエネルギーの未来を支える取り組みとして、日立産機の一歩が大きな変革へとつながるでしょう。
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